Annearth

オーガニックって何?

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オーガニックって?

 

一言にオーガニックと言ってもなんとなくはわかるけど、

 

野菜などでいうと、無農薬野菜と一緒なの?違うの?など疑問もあると思います。

 

オーガニックの歴史とともにできるだけわかりやすく

 

説明していきます!

 

オーガニックとは・・・

 

オーガニックと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

 

土づくりにとにかくこだわっていて、

化学農薬を使っていない野菜!

 

 

というような、生産方法にこだわるイメージや、

自然の生き物を大切にしていて、

地球環境保護のためになる!

などのエコロジー的視点もあるでしょう。また、

 

 

付加価値もあって健康に良さそう!

というような意見もあると思います。

 

 

皆さんのイメージはどうだったでしょうか?

 

一言で言うなら全部オーガニックですね!

 

では、どんなものがオーガニックとして売られているのかみていきましょう!

 

 

 

一般的にオーガニックとは、無農薬・無化学肥料で栽培されたものをいいます。

 

大きくは有機栽培や有機農法のことを指します。

 

農薬や化学肥料を使わなければすべてオーガニックなのか?・・・

 

そうではなく、オーガニックと表示するためには、

 

3年以上、無農薬・無化学肥料の土壌で栽培されていること・

 

遺伝子組み換え種でないこと・

 

オーガニックの条件を満たした原料で添加物などを使わずに作られた加工品・

 

畜産物は畜産飼料にも有機飼料を使用していること・

 

栽培、加工、流通などすべての段階で認証機関などの第三者が厳しくチェックしたもの

 

などの規定をクリアして、認定される必要があります。

 

そして、このオーガニックを認定は、世界各国特定の認定機関があり、

 

日本では農林水産省がそれにあたります。

 

農林水産省が認定した証が、皆さんも見たり聞いたりしたことがある「有機JASマーク」なのです。

 

有機JASマークがなければ、有機やオーガニック、それに類する表現をすることはできません。

 

この基準を制定するまでには、大戦中からの化学肥料や農薬を使用した時代に

 

環境問題を認識し、それに取り組んだ人々の努力がありました。

 

オーガニックの歴史 〜欧州〜

 

そもそも、「オーガニック」「有機栽培」は、私たちが栽培を営み始めたはるか昔からあるものです。

 

元々がオーガニックであり、有機栽培であったのです。

 

人間が戦争などによる食糧難を解決しようと、

 

生産性を重視して始めた農薬や化学肥料を使う農業が

 

最近のことで、新たな農法なのです。

 

 

 

現在の欧州におけるオーガニック市場の位置づけとしては、

 

世界的な不景気を招いた2008年のリーマンショック以降も

 

平均して年率10%弱の成長を見せ、欧州全体で

 

オーガニック市場の広がり、高まりを見せています。

 

このような欧州での広がりは消費者の食品の安全性や

 

環境問題への高い意識に支えられています。

 

シュタイナー農法

 

 

欧州でのオーガニックの高まりは、有名な教育者であり農業にも注力していた

 

ルドルク・シュタイナーの教えが有機農業の発展に大きく影響している

 

と言われています。

 

シュタイナーは、生命循環・生態系の外部から肥料を施すこと

 

(鉱物・化学肥料や農薬)をよしとせず、

 

その農場が一つの生態系と考え、

 

その中で有機物の循環やその生命システムを理想としていました。

 

そのシュタイナーが「バイオダイナミクス農法」を提唱し、

 

通称「シュタイナー農法」と呼ばれ、

 

現在でも取り入れている農家も多いようです。

 

このシュタイナー農法は、それまでの鉱物性肥料を中心とした農法や、

 

「人間中心」であった農業に変革をもたらすものでしたが、

 

農場の中だけでその生命循環をさせる考え方には

 

閉鎖性や排他性があり、完璧に実践するのは難しい一面がありました。

 

また、戦中のナチス政権下では生産性の低さから

 

公的な農法実践は禁止されていましたが、

 

一部支持者による実践・研究が水面下で

 

進められていたと言われています。

 

化学農業の加速

 

 

1940年代、第二次世界大戦が終焉に向かう頃、

 

欧州では食糧難に陥っていた地域もあり、

 

それをきっかけに生産性を重視した化学農業が

 

一気に加速していくことになりました。

 

その中でも深刻な食糧難に陥ったイギリスでは

 

1947年に各農家に農作物買収保証を設定し、

 

農地拡大・食糧増産を強力に推し進めました。

 

1958年には、現在にも続く

 

「共通農業政策(Common Agridalutural Policy =CAP)」が

 

欧州経済共同体(EEC)で制定され、

 

加盟国で食料自給率の向上、農家・消費者保護を

 

目的とした制度が展開されていきました。

 

当時、欧州各国では、農地拡大・食糧増産のために

 

化学肥料や農薬を大量に使った農業を拡大しましたが、

 

化学物質によって地下が汚染され、

 

現在のEUの基準である硝酸対窒素の上限値50ppmを

 

上回る地域も増加してきていました。

 

また、過剰生産によって食糧が余ることも起こり、

 

食料自給率は拡大しましたが、

 

これらの問題が注目を集め始めることとなりました。

 

持続可能な農業へ

 

このような問題への反省から、欧州では

 

「持続可能な環境保全型農業」、つまり有機農業へ

 

変わる動きを見せ始めます。

 

そこで、欧州共同体(EC)では、

 

1985年に、グリーンペーパー(共通農業策の展望)を発表し、

 

生産拡大志向の強いCAPに対して

 

「環境への配慮の取り組み」を

 

農家保護要件として追加し、

 

環境保全への道に転換していくこととなりました。

 

現在では、オーガニック市場も拡大しており、

 

2012年には、農地全体に占めるオーガニック農地が約2.3%と

 

2003年の約2倍となっています。

 

また、欧州におけるオーガニック食品の売上総額も

 

世界トップクラスの市場となっていて、

 

その伸び率は、経済危機の影響を受けている国もある中で

 

注目が高まり続けています。

 

 

 

オーガニックの歴史 〜アメリカ〜

 

 

現在のアメリカのオーガニック市場は世界第一位となっています。

 

世界で約800億ドルのオーガニック食品の市場のうち、

 

47%を北米が占めており、

 

欧州全体でも42%であり、その市場の大きさを示しています。

 

特にミレニアム世代(アメリカで1980年から1990年代に生まれた世代のこと)での

 

オーガニック浸透が高く、

 

インターネット普及に伴う健康・環境への情報への近さ、

 

また、オーガニックがクールだと言う考え方がSNSでも発信され、

 

若者への浸透を高めている傾向があります。

 

大戦後のアメリカ農業

 

 

第二次世界大戦後、アメリカでも欧州同様に

 

化学肥料や農薬を大量に使用した拡大農業が展開されていました。

 

生産能力と生産量を推し進め、石油化学関連企業も

 

大学での化学肥料や農薬の研究に資金提供をして

 

研究・開発を重ねていきました。

 

一方で、非効率な有機農業に対しては

 

批判的な態度をとります。

 

これによって、一層化学肥料や農薬を使用した

 

農業の発展が進むことになり、

 

有機農業は影を潜める形に追いやられました。

 

そんな中、レイチェル・カールソンは、

 

化学農薬の無差別使用を批判します。

 

彼女は、これまでの化学肥料や農薬中心の農業の

 

環境やそれを食べた消費者に対する影響について

 

市民の心を代弁した“Silent Spring” (「沈黙の春」1964年 新潮社)を刊行しました。

 

この本に関しては、化学肥料・農薬メーカーから痛烈に批判されたものの

 

市民だけでなく、政策立案者からも注目と支持を得ました。

 

そんな彼女の出版により、

 

環境保護基金」と環境保護庁が設置されたと言っても過言ではありません。

 

国家としての統一基準制度

 

 

その後も発がん性のある植物生育調節剤のダミノザイドを

 

果実の着色向上に使用していることや、

 

遺伝子組み換え食品問題などが顕在化し、

 

有機農業に対する政府の支援を要求する風潮が高まりました。

 

これに対して、カリフォルニア州を皮切りに

 

各州政府が有機農業に対する認証業務を実施していきます。

 

そして、1990年には、アメリカ統一基準である

 

「オーガニック食品生産法」が制定され、

 

国家としてオーガニック食品を拡大・保護していく立場を明確にしていきました。

 

世界第一位のオーガニック市場をもつアメリカでは、

 

2016年にはその市場規模が470億ドルに達しました。

 

食品業界が低迷している中で、オーガニック市場は

 

2015年から2916年にかけて8.5%と高い伸びとなり

 

約10年のうちに3倍以上に成長しています。

 

これは、アメリカ国内でのオーガニックの高まりが

 

数字となって表れていると言えます。

 

 

 

 

オーガニックの歴史 〜日本〜

 

日本におけるオーガニック市場はその数値から見ると

 

まだ開花したばかりだと言えます。

 

耕地面積では緩やかに増加しているものの

 

日本の耕地面積の0.5%に過ぎません。

 

欧州の2.3%に比べると非常に割合が低いです。

 

また、市場規模は1300億円と、欧州や北米が5兆円前後まで

 

推移しているのに対しては、

 

その足元にも及んでいません。

有機農業

 

 

日本で有機農業が開始されたのは、

 

1970年代からだと言われています。

 

欧州やアメリカなどと同様に、

 

戦後の食糧増産のために1961年には農業基本法が制定され、

 

日本でも化学肥料・農薬の使用が促進されるようになりました。

 

また、高度経済成長期に入り、

 

生活が豊かになっていく一方で、

 

水俣病四日市ぜんそくなどの公害問題、

 

光化学スモッグなどの環境問題が

 

表面化するようになっていきました。

 

そして、森永ミルクヒ素事件・カネミ油症事件など

 

食の安全性に対する不安を募らせるような事件も勃発してしまいます。

 

そんな中、農協職員であった一楽照雄が

 

「有機農業」という言葉を生み出します。

 

化学肥料や農薬漬けになっている農地や

 

大量生産に後押しされた農業の近代化に疑問を持ち、

 

人間社会や自然生態系の破壊に繋がりかねないと危惧していました。

 

こうした農業・社会に対して

 

持続可能性をもった考え方を普及すべく、

 

「有機農業」と銘打ち活動を始めました。

 

その一つに1971年に発足された「日本有機農業研究会」があります。

 

これは、生産者・消費者・研究者が一体となり

 

有機農業の実践と普及を目指すという内容でした。

 

当初は、有機農業という考え方を持つことに対して、

 

変人扱いを受けたり、農村から排除されることもあったようですが、

 

環境問題が表面化するにつれて

 

支持を集めるようになっていきました。

 

 

そのころは、有機農作物生産者と消費者を直接結ぶ形をとっていて、

 

市場に対してクローズな流通形態だったため、

 

なかなか有機農作物は一般には広がりませんでした。

 

また、「有機」という定義も曖昧で

 

少し有機肥料を使用した食品や減農薬食品まで

 

「有機」として売られていました。

 

そこで、1993年に農林水産省によるガイドラインが制定されました。

 

1996年には1992年に制定された「青果物等特別表示ガイドライン」を改正し、

 

化学肥料や農薬を使わない「有機農作物」と

 

無・減農薬で栽培した「特別栽培農作物」の二つに分類しました。

 

2000年には、それまでの日本農林規格(JAS法)が改訂され、

 

「有機JAS」の規格が制定されました。

 

これによって「有機」の定義が定まり、

 

少しずつ支持されるようになっています。

 

 

 

オーガニックの目的

 

 

ここまで、欧州・アメリカ・日本のオーガニックの歴史を主に

 

見てきましたが、そもそもオーガニックの目的って何?

 

と思う人もいると思います。

 

多くの人はオーガニックの目的は?と聞かれて

 

「化学肥料や農薬を使わないで食品の安全性を高めること」

 

と頭に浮かぶでしょうか。

 

オーガニックにとって食品の安全性は

 

目的ではなく結果という見方もあります。

 

オーガニックに何を求めるかは、人それぞれでいいと思います。

 

忘れてはならないのは、私たち人間は

 

微生物や植物がいなければ生きていけないという事実です。

 

微生物が自然界にある有機物を分解し、

 

それを植物が吸収して育ち、光合成で栄養を作ります。

 

私たち人間をはじめとする動物はそれを食べて生きています。

 

土の中でも水の中でも、地球上の生命はすべて食物連鎖で繋がっているのです。

 

なので、私たち人間は微生物や植物の生存環境(汚染のない水・大気・土)

 

を考えないわけにはいきません。

 

だから、オーガニックは化学農薬・化成肥料、

 

そして環境ホルモンや遺伝子組み換え技術を避けて

 

自然のままの健全な食物連鎖を目指しているのです。

 

この地球上にある生命はすべて繋がっているのです。

 

オーガニックは自然。

 

すべてが自然から生まれた存在。

 

すべてと繋がっていて、すべてが繋がっているのです。

 

 

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