Annearth

世界のプラスチック事情②

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ごみの押しつけ

 

中国は2018年より、プラスチックなどの廃棄物輸入を

 

禁止すると発表しました。

 

これまで世界のプラスチックゴミの45%(年間約713万トン)を

 

引き受けていた中国の発表に、

 

それまでプラスチックごみを中国に輸出していた国々は

 

受け入れ先を失って、慌てました。

 

この「チャイナショック」によって

 

リサイクルの真実に気づかされることのなりました。

 

2016年に日本で発生したプラスチックごみは

 

約899万トン。

 

そのうち国内でプラスチック原料に再生されたのは

 

1割にも達しません。

 

残りのうち約80万トンは中国へ、

 

約50万トンは香港経由で本土へ、

 

合わせて130万トンが中国の人々によって

 

リサイクルされていたのです。

 

1990年代以降、アジアやアフリカの一部の国々は、

 

国内の資源不足を補うために、

 

諸外国から廃棄物を輸入してきました。

 

なかでも中国は最大の廃棄物輸入国でした。

 

2016年にに中国に輸出されたプラスチックごみは、

 

合計713万トンです。

 

国別にみると、中国への輸出経由地である香港を除くと、

 

日本が約84万トンと最も多く、

 

次いでアメリカが約69万トン、

 

そして、ドイツ、ベルギー、オーストラリア、カナダ

 

など先進国が上位にきています。

 

プラスチックの消費量が多い先進国が、

 

プラスチックのリサイクルを他国に任せてきたのです。

 

中国がプラスチックごみ輸入規制に踏み切った

 

2018年、これまで中国に売られていた大量のプラスチックごみは

 

マレーシア、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国へと

 

運ばれることになりました。

 

しかし、これらの国々も危機意識を持ち、

 

次々と輸入規制を発表しました。

 

先進国は、アジア諸国のこうしたプラスチックごみ輸入規制を

 

受けて、いまだに増え続けるプラスチックごみの

 

対処に迫られています。

 

 

 

使い捨てプラの行き先は自然界!?

 

人類がこれまでに生産したプラスチックのうち、

 

約半分は21世紀になってからのものだと言われています。

 

なかでも、伸びがすごいのが、

 

飲料ボトル、食品トレイ、外装フィルム、レジ袋など

 

容器や包装に使われているものです。

 

2015年に生産されたプラスチック約4億トンを

 

容器包装や土木・建築資材、合成繊維など様々な部門に分類すると、

 

全体の3分の1以上を占める36%が容器包装なのです。

 

容器包装プラスチックは、

 

商品の輸送や保存、衛生管理に役立ち

 

私たちの暮らしの中で目にしない・手にしない日はない

 

と言えるほどのものになっています。

 

しかも、これらの包装容器は使い捨てであり、

 

生産されたその年のうちに

 

ごみとなってしまうものがほとんどです。

 

そして、生産量が増えればそれと比例して

 

ごみの量も増えます。

 

2015年にごみになったプラスチック約3億トンのうち

 

47%を占めるのが容器包装なのです。

 

国別にみると、容器包装プラスチックごみの

 

総量では中国がトップです。

 

ですが、プラスチックごみの一人当たりの量に換算すると、

 

アメリカがトップでそれに次いで日本が2位になっています。

 

以前から指摘されている日本の過剰包装が、

 

数字となってあらわれた結果とも言えると思います。

 

しかし、本当に問題なのはこれらのごみの行方なのです。

 

どれ程のごみがちゃんと処理されていると思いますか?

 

2015年の全世界の容器包装プラスチックごみのうち

 

リサイクルされたのは14%に過ぎません。

 

残りの86%のうち、埋め立てや焼却などで処理されたものを除くと、

 

32%が流出しているというのです。

 

容器包装プラスチックごみは、軽くて風に飛ばされやすく

 

特にレジ袋は予想以上に遠くまで飛ばされます。

 

しかも、数百年・千年経っても分解されないと言われています。

 

こうして流出したゴミのうち、

 

土壌に堆積するものもあれば、

 

海にたどり着くものもあります。

 

海洋プラスチックごみの発生源の一つは

 

私たちの日常にあるのです。

 

 

 

持続可能な開発目標(SDGs:エスディジーズ)による取り組み

 

2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において、

 

国連加盟国193か国は、2030年までに達成すべき目標として

 

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)

 

を含む行動計画に合意しました。

 

そのうちの一つが「2030年までに、廃棄物の発生を

 

大幅に削減する」というものです。

 

これによって、各国で

 

プラスチックごみの削減に向けて

 

様々な取り組みが進められています。

 

なかでも、世界的に広まっているのが

 

スーパーやコンビニなどで無償配布されてきた

 

プラスチック製レジ袋の規制です。

 

全世界で消費されているレジ袋は、

 

年間1兆〜5兆枚にのぼります。

 

日本だけでも、年間300億〜500億枚も

 

使われているのが現状です。

 

適切処分されなかったレジ袋は

 

海洋汚染の原因ともなるので、

 

すでに2000年代初めから、

 

規制の動きがありました。

 

各国や多くの各地域で何らかの規制に乗り出しています。

 

しかし、一人当たりの容器包装プラスチックごみ

 

世界一位のアメリカでは、レジ袋禁止措置は一部州のみ、

 

二位の日本では、一部スーパーでレジ袋が有料化されていますが、

 

業界の反発もあり、これまで義務化はされてきませんでした。

 

そして、やっと2020年7月よりレジ袋有料化が始まります。

 

一方、規制が極めて厳しいのが、アフリカです。

 

ケニアやタンザニアでは、

 

レジ袋を含むポリ袋全般の製造・輸入・販売・使用

 

いずれも禁止されていて、

 

違反者には禁固刑や罰金刑が科せられます。

 

今では、自然で分解されて自然に還るという

 

生分解性のプラスチック製品も開発されてきていて、

 

企業単位で環境保護に取り組んでいるところが

 

だいぶみられるようになってきました。

 

しかし、大きく見れば、

 

先進国は有料化が多いのに対して、

 

アジア・アフリカなどの発展途上国は、

 

より厳しい禁止措置をとる国が多くなっています。

 

これには、途上国ならではの問題が潜んでいるのですが、

 

それは今度、詳しくみていこうと思います。

 

毎回の買い物で一つでもプラスチックを

 

減らす意識を私たち消費者が持って、

 

消費していく事がまずは重要になってくると思います。

 

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

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