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プラスチックの基礎

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プラスチックの基礎

 

今回は、私たちの生活に欠かせないものと

 

なっているプラスチックがどのようにできているか

 

など、プラスチックの基礎となるところを

 

見ていこうと思います。

 

身近だからこそあまり知らないようなところですが、

 

プラスチックとうまく付き合っていくためにも

 

必要な視点だと思います。

 

プラスチックのことを

 

今までよりも知り、

 

うまく付き合っていけるようにしていきましょう。

 

 

 

プラスチックって何でできてるの!?

 

世界的にプラスチックがこれだけ問題になっているのは

 

プラスチックが土に還る事がないという事があげられます。

 

この特性があるからこそ、

 

長期間地中に埋めておけるので

 

水道管などにも使われるのですが、

 

これが廃棄されることになると

 

この長所が短所へとなります。

 

土に還らず分解されないので、

 

自然界に残り続けて、

 

環境汚染に繋がり、

 

生態系が崩れてしまうのです。

 

プラスチックが分解されないのは、

 

人工物であるプラスチックを分解する

 

微生物が自然界に存在しないためだと

 

言われてきました。

 

近年、一部のプラスチックを分解する

 

微生物の存在が確認されましたが、

 

その微生物の分解速度は遅く、

 

解決策にはなりそうにないのが現状です。

 

プラスチックが普及し始めてから

 

70年ほどしか経っていません。

 

そのため、数百年・数千年と言われる

 

プラスチックの寿命を見届けるのは

 

非常に難しい事なのです。

 

 

 

プラスチックという言葉は

 

形を作る事ができるという

 

ギリシア語のPlastikosに由来しています。

 

もともとは粘土や石膏のように

 

自在に成形できる素材の性質を

 

表す言葉でした。

 

20世紀に入ってから、

 

現在のようにプラスチックと呼ぶようになりました。

 

また、プラスチックは「合成樹脂」とも呼ばれます。

 

樹脂(レジン)とは、

 

もともとは植物から分泌される松ヤニのようなものの事です。

 

粘性があり、形を作って固まる性質(可塑性:かそせい)があります。

 

これに似たような性質があるので

 

天然の樹脂に対して合成樹脂という

 

言葉が生まれましたが、

 

厳密に言えば、プラスチックは樹脂ではありません。

 

プラスチックの原料は石油です。

 

石油の成分はほとんどが炭素と水素なので

 

プラスチックもそれらをもとにしてできています。

 

炭素を含む化合物のことを炭素化合物、

 

または一部例外を除いて有機化合物ともいいますが、

 

生命体もその一つです。

 

意外ですが、プラスチックは無機物ではなく

 

人と同じ有機物なのです。

 

炭素という原子は、

 

化合物をつくる能力がすごく、

 

他の原子と結びついて無数の化合物を生み出します。

 

その中でも、炭素と水素の組み合わせは

 

無限にあるとされていて、

 

化学構造が少し違うだけで、

 

性質の違う化合物ができます。

 

これを利用して人工的に作られたのが

 

プラスチックなのです。

 

 

 

プラスチックの性質

 

プラスチックには、思い通りの形に固められる

 

可塑性という性質がありますが、

 

すべてのプラスチックに半永久的な

 

可塑性があるわけではありません。

 

プラスチックは、

 

「熱可塑性」と「熱硬化性」という

 

大きく2種類の性質に分けられています。

 

熱可塑性プラスチックは、

 

加熱すると柔らかくなり、

 

冷えると固まります。

 

そのため、何度でも溶かして、

 

成形することができます。

 

私たちが日常的に使う機械の多い

 

プラスチック類、ポリエチレン、ポリプロピレン、

 

ポリ塩化ビニルなどは熱可塑性です。

 

キッチンなど熱があるところで

 

変形してしまったら、

 

それは熱可塑性プラスチックです。

 

一方、熱硬化性プラスチックは、

 

熱を加えると化学反応が起こって固まりますが、

 

一度固まると、もとには戻りません。

 

熱硬化性には、フェノール樹脂(ベークライト)や、

 

エポキシ樹脂、メラニン樹脂などがあります。

 

一度固まると、熱しても溶けない性質を活かして、

 

鍋やフライパンの取手や、

 

自動車や航空機の機体などにまで、

 

耐熱性が求められるものに使われています。

 

ただ、この特性によって、

 

リサイクルが非常に難しくなっています。

 

 

プラスチックの中身

 

あらゆる物質は、分子からできています。

 

その分子はいくつかの原子からできています。

 

私たちに身近なレジ袋などに使われている

 

ポリエチレンについてみてみます。

 

ポリエチレンは、

 

炭素2個・水素4個からできているエチレンという分子を

 

人工的にたくさんつなげたものです。

 

このエチレンのように

 

基本になる分子のことを

 

「モノマー(単量体)」といい、

 

モノマーをつなげたものを

 

「ポリマー(重合体)」といいます。

 

「モノ」というのがひとつ、

 

「ポリ」というのがたくさんという意味になります。

 

様々なプラスチックは、

 

モノマーをいくつもつなげて

 

ポリマーにしたものです。

 

よく目にするプラスチックに

 

「ポリ」がつく名前が多いのは、

 

これによる理由です。

 

こうやってできたポリエチレンは、

 

たくさんの炭素と水素が鎖のように繋がって

 

大きな分子を構成しています。

 

長くて大きい分子を

 

「高分子」といいます。

 

この高分子のものは

 

自然界にもたくさん存在していて、

 

タンパク質、DNAなども高分子です。

 

 

 

どのように人工的なポリマーを

 

作るかをみるときに重要なのが、

 

他の原子とつながるための原子の手である

 

原子価です。

 

例えば水素は1本、酸素は2本

 

などのように原子ごとに

 

原子価が決まっています。

 

プラスチックに欠かせない

 

炭素の原子価は4本もあるので

 

他の原子と様々な結びつき方をして、

 

多種多様な分子を作り出します。

 

エチレンを例にみてみると

 

エチレンは炭素2個と水素4個からできていますが、

 

炭素の手が1本づつ余ってしまうので、

 

炭素同士の二重結合が起きます。

 

二重結合を持つ分子は

 

ポリマーを作りやすくなります。

 

いくつものエチレン分子が

 

隣り合った状態で、

 

熱や圧力を加えたりすると、

 

二重結合の手がはずれて、

 

隣の分子の炭素と結合します。

 

この動きが何回も繰り返されると

 

ポリマーになるのです。

 

このように連鎖的にポリマーができていく反応を

 

「付加重合」といいます。

 

ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなども

 

付加重合によって作られるプラスチックです。

 

 

モノマーの利用

 

付加重合についてふれましたが、

 

重合法にはこの他にも

 

縮合重合というものもあります。

 

縮合重合とは

 

2つの分子から一部分が抜け落ち、

 

残った部分が結合してポリマーができることです。

 

大体の場合、水が抜け落ちます。

 

縮合重合は付加重合と違って、

 

異なるモノマー同士をつなげて

 

新しい性質を持つ素材を作ることができます。

 

モノマーAとモノマーBをつなぐことを例にみてみます。

 

モノマーAとモノマーBをつなぐときに

 

それぞれの分子の端には

 

水素や酸素がつながっていて

 

AとBはつながることができません。

 

ここに、熱を加えたりして、

 

化学反応を起こすと、

 

水素2個と酸素1個が結びつき

 

水になって抜け落ちていきます。

 

つまり、脱水させるのです。

 

水が抜けた分、端の原子の手があきます。

 

それによって、AとBは結合できるようになります。

 

縮合重合によって作られるプラスチックには、

 

ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)

 

などがありますが、

 

その中でもよく目にするのは

 

ポリエステルの一種である

 

ポリエチレンテレフタラート(PET)

 

であると思います。

 

PETは、テレフタル酸とエチレングリコール

 

という2つの成分を縮合重合させたもので、

 

ペットボトルの原料として有名です。

 

また、プラスチックの重合法は

 

他にも様々あって、

 

化学者の人たちは

 

いろいろなモノマーをつなぎ合わせて、

 

数え切れないほどのプラスチックを

 

つくってきました。

 

重合法と逆で、

 

ポリマーを再びモノマーに分解することを

 

解重合といいます。

 

この解重合が、プラスチックごみが

 

問題となっている現在、

 

リサイクルのひとつの手段として

 

重要視されています。

 

プラスチックは自然のままでは

 

分解されませんが、

 

理論上、重合と逆の化学反応を起こすことで

 

分解することは可能です。

 

例えば、脱水で縮合重合したなら、

 

加水すればものに戻るという理論です。

 

これは単純なことではなく、

 

様々な条件や複雑な工程が必要ですが、

 

PETをテレフタル酸と

 

エチレングリコールという

 

2つのモノマーに戻して、

 

再利用する技術が実用化されています。

 

 

 

 

現在、プラスチックの再利用など、

 

様々な形でプラスチックとの

 

付き合い方が実践されています。

 

これからも、また新たな付き合い方が

 

生まれてくるかもしれません。

 

そして、私たち消費者一人一人が

 

できることもたくさんあります。

 

化学的なところはわからなくても、

 

個々人でまずは無理なくできることを

 

考え、実行していくことが

 

また新たな世界へとつながっていきます。

 

例え小さいと思うようなことでも、

 

少しづつでも変えていければ、

 

素敵な世界へとつながっていくと思います。

 

自分にあったプラスチックとの付き合い方を

 

見つけていきましょう!!!

 

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

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