Annearth

プラスチックとこれから

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リサイクルから脱プラスチック

 

リサイクル先進国ドイツでは

 

「ごみは資源」という考え方のもとで、

 

徹底したリサイクル政策が

 

とられています。

 

再利用・再生できるものはリサイクルして、

 

廃棄物を発生させない、

 

というのが基本理念です。

 

すでに1980年代から、

 

リターナブル(繰り返し使える)容器には、

 

デポジット制が採用されています。

 

デポジット制とは、

 

消費者が商品を買う価格に、

 

デポジット(預かり金)

 

が上乗せされて、

 

空のボトルをスーパーなどに持っていくと

 

返金されるシステムです。

 

例えば、ペットボトルのデポジットは

 

約34円と決して安くないことが

 

回収率を高めてもいます。

 

また、スウェーデンでも、

 

デポジット制が導入され、

 

ペットボトルの約8割が

 

回収されています。

 

容器包装のリサイクル料も

 

商品価格に上乗せされています。

 

そして、スウェーデンでは

 

埋め立てられるごみは

 

わずか1%です。

 

その他の99%のうち、

 

リサイクルできるものはリサイクルして、

 

生ごみは肥料やバイオガスの原料にされたり、

 

焼却して地域暖房などのエネルギーに

 

されています。

 

計画性を持って、

 

ごみをとにかく有効利用するのが

 

スウェーデン流といえますね。

 

EUは、海洋ごみ問題を受けて

 

大胆なプラスチック戦略を打ち出しています。

 

リサイクル推進はもちろんのこと、

 

使い捨てプラスチック製品を

 

2021年までに禁止するという

 

法案を可決しています。

 

加盟国には、

 

これに対応する国内法の

 

整備が義務付けられています。

 

フランスは、世界初の使い捨て

 

プラスチック製品使用禁止を公布しています。

 

リサイクルから使い捨て禁止へと

 

移行するEUの姿勢は

 

世界の指針となりつつあります。

 

 

 

 

リサイクルに行き詰まるアメリカ

 

世界有数のごみ排出国アメリカでも、

 

リサイクルが推進されていますが、

 

州や都市によって、

 

ごみ政策は大きく違います。

 

最もリサイクルが進んでいるのは、

 

カリフォルニア州です。

 

ごみ回収容器は、

 

リサイクル(資源物)、

 

コンポスト(堆肥化できる生ごみなど)、

 

埋め立て(その他のごみ)

 

の3種類に分けられて、

 

回収費用は住民が負担しています。

 

プラスチック類は、

 

瓶や缶と一緒に

 

資源物として回収されて、

 

分別は処理施設で行われます。

 

カリフォルニア州には、

 

コストのかかる焼却炉が極めて少ないため、

 

焼却に頼らず、

 

リサイクルと堆肥によって

 

埋め立てごみを徹底的に減らす、

 

という考え方です。

 

このようにわかりやすく

 

シンプルな方式がうまくいき、

 

全米でも屈指の

 

リサイクル率50%を超えています。

 

リサイクルに取り組む州や都市は、

 

徐々に増えてはいますが、

 

アメリカ全体のリサイクル率は

 

欧州からすると低く、

 

プラスチックに限れば、

 

約9%にとどまっています。

 

そして、中国のプラスチックごみ

 

輸入禁止が、これに追い討ちをかけました。

 

これまで中国に売っていた大量のごみを、

 

自国でリサイクルしなければならなくなり、

 

リサイクル費用が高騰しています。

 

民間の大手リサイクル企業が、

 

その費用を自治体に求めたので、

 

リサイクルを中止する

 

自治体も現れています。

 

このことからもわかるように、

 

現在のアメリカは、

 

リサイクル事業が行き詰まりをみせています。

 

それとともに、欧州のように

 

使い捨てプラスチック禁止を

 

支持する声が高まっています。

 

カリフォルニア州、ワシントンDC、

 

ハワイ州などでは、

 

レジ袋が規制されています。

 

また、国内だけで1日5億本も

 

使われているプラスチック製ストローに対しても、

 

2018年に全米の主要都市で

 

初めてシアトル市が禁止を表明しました。

 

カリフォルニア州も2019年に禁止しています。

 

 

 

 

リサイクルと新素材の開発

 

環境保護団体グリーンピースは、

 

世界の6大陸で大規模な清掃を行なって、

 

18万7000点以上のごみを回収しました。

 

そのうちの使い捨てプラスチックごみを

 

メーカー別に仕分けして、

 

多い順に並べると、

 

コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレ

 

などと馴染みのあるグローバル企業の

 

名前が並んでいます。

 

これまでも、プラスチックごみ対策は

 

消費者や自治体だけでなく、

 

プラスチック製品を製造・提供する企業の

 

協調が必要であると指摘されてきました。

 

海洋ごみ問題が、

 

世界的関心なものへとなっているので、

 

企業も対策をはじめました。

 

コカ・コーラは、2030年までに、

 

製品に使用するすべてのボトルの

 

回収とリサイクルを推進する目標を設定しています。

 

ペプシコは、2025年までに

 

容器の100%リサイクルを目指しています。

 

さらに両社とも、

 

米国プラスチック産業協会からの

 

脱退を表明しています。

 

プラスチック容器規制に

 

反対する協会から離れて、

 

プラスチックごみ削減を目指す

 

世界の動きに同調する姿勢を示しています。

 

これらの他にも、

 

多くの企業がリサイクルに

 

取り組みはじめています。

 

使い捨て容器を商品に使う企業だけでなく、

 

合成繊維を扱う企業も同じです。

 

アメリカのパタゴニアという衣料メーカーは、

 

1993年に世界で初めて

 

ペットボトルを再生した

 

フリースを使用しました。

 

日本でも、

 

東洋紡、ユニチカなどの繊維メーカーが

 

ペットボトルの回収と再生に取り組んでいます。

 

また、東レは

 

自社が開発したナイロン6を

 

解重合によって再度製品化する

 

ケミカルリサイクルの技術を

 

早くから確立しており、

 

制服や魚網の回収・リサイクルで

 

実績をあげています。

 

リサイクルと並行して進むのが、

 

バイオプラスチックへの転換です。

 

プラスチック製ストローが

 

鼻孔に刺さったウミガメの映像が

 

人々に衝撃を与えて以来、

 

生分解性ストローに注目が

 

集まっています。

 

日本でも、セブンイレブンが

 

一部で試験的に導入しています。

 

バイオ素材開発が進む欧州では、

 

デンマークの玩具会社レゴが、

 

子どもが安心して遊べるように、

 

ブロック玩具の素材をABS樹脂から

 

バイオ由来の素材に

 

順次切り替えています。

 

また、ドイツの大手化学メーカー

 

BASFが開発した

 

生分解性プラスチック、エコバイオは、

 

ごみ袋や農業用フィルム、

 

発泡スチロールの代替品として

 

期待されています。

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

 

 

 

 

これからのプラスチック

 

中国のプラスチックごみ輸入禁止や

 

それを受けての世界の動きは

 

また、新たなステージへと

 

向かっています。

 

企業のリサイクルに

 

対する活動もそうですが、

 

私が個人的に注目しているのは、

 

生分解性の製品です。

 

海外でもその開発は進んでいますが、

 

日本でも負けじと進んでいます。

 

土壌での生分解できる製品はありましたが、

 

海洋では難しいとされてきました。

 

しかし、愛媛県に本社のある福助工業は、

 

レジ袋は風などで遠くまで

 

飛ばされてしまうことがあるので、

 

その対応策として、

 

海洋でも性分解される

 

製品を開発しています。

 

テイクアウト容器でもそうですが、

 

衣料品においても

 

生分解性のものがありますし、

 

スーパーなどでも

 

生分解性の使い捨て容器などの

 

取り扱いも多く見られるように

 

なってきています。

 

買って消費する社会において、

 

この生分解性製品は

 

今後、大きくチカラに

 

なってくれると思っています。

 

ごみをできるだけ出さないことが

 

いいのですが、

 

発展してきた生活スタイルと

 

上手に付き合うためにも

 

商品選びの際に、

 

包装ができるだけしてないものを選んだり、

 

素材表示を確認するクセをつけたりと

 

自分にあった方法を確立してみてくださいね!!!

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