Annearth

世界の動きSDGsとプラスチック・リサイクル

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日本の容器包装リサイクル法の実情

 

日本では、1995年に

 

容器包装リサイクル法が制定され、

 

1997年にペットボトル、缶、瓶、

 

2000年にプラスチック、紙など

 

容器包装ごみのリサイクルが

 

企業に義務付けられるようになりました。

 

大まかな流れは、

 

*容器包装を製造・利用・販売する企業は

 

リサイクルを取りまとめる協会に

 

委託料を支払う。

 

*消費者は、ごみを分別して出す。

 

*自治体は、それを収集・選別して

 

リサイクル業者に引き渡す。

 

*リサイクル業者には、

 

協会からリサイクル費用が支払われる。

 

というものです。

 

しかし、再生効率のいい

 

ペットボトルは別として、

 

多種多様なプラスチック容器包装は、

 

実際は多くが燃やされています。

 

その理由として、

 

一つは、汚れたものや中身が残っているものは

 

リサイクル業者が引き取らないこと

 

があります。

 

もう一つは、法律改定によって

 

サーマルリサイクル(焼却)が

 

認められるようになったためです。

 

事実、東京23区のうち6区は、

 

プラマークのついた容器包装も

 

「可燃ごみ」に指定しています。

 

小規模な自治体ほど、

 

リサイクルに熱心に取り組む傾向がみられ、

 

各自治体によって、

 

ごみ政策が違います。

 

そして、「容器包装」の定義が

 

わかりにくいことも、

 

消費者の混乱を招いています。

 

最大の問題は、

 

自治体にのしかかる負担です。

 

ごみを業者に引き渡すためには、

 

不純物を取り除き、

 

運びやすいように圧縮し、

 

一定量を保管しておかなければなりません。

 

そのための費用が、

 

全国合計で年間推定約2500億円、

 

それに対して、企業の負担金(委託金)は

 

約380億円です。

 

そもそも企業は、製品全体ではなく、

 

リサイクルされた量に対してしか

 

支払い義務を負いません。

 

しかも、負担金を払わない

 

「ただ乗り企業」が

 

相当数存在すると指摘されています。

 

さらに、負担金を払うことで

 

企業がプラスチック容器削減に向けた

 

努力をしない、

 

消費者もリサイクルに頼って

 

ごみを出し続けてしまう、

 

という悪循環を

 

招いているともいえるでしょう。

 

 

 

作る・売る・買う・使う責任

 

全世界のプラスチックリサイクル率は、

 

わずか9%しかありません。

 

リサイクルがなかなか進まないのは、

 

費用がかかり採算が取れないこと、

 

また、再生されたプラスチックは

 

どうしても質が落ちてしまう

 

ことが関係しています。

 

そして、プラスチックという

 

素材の複雑さもあります。

 

種類があまりにも多く、

 

リサイクルするためには

 

ポリエチレン、PETなど

 

種類ごとに分別する必要がありますが、

 

この分別はほとんど手作業で行われます。

 

また、プラスチック製品の中には、

 

複数の素材を組み合わせたものがあること

 

も関係しています。

 

特に日本は、欧米に比べて

 

高性能が重視され、

 

複合素材が多く使われています。

 

例えば、食品包装用のフィルムは、

 

空気遮断性のあるナイロン、

 

防湿性のあるポリエチレンなど、

 

中に入れる食品に応じて、

 

異なる特性を持つ素材が

 

何層にも重ねられています。

 

こうした複雑な素材は、

 

リサイクルしにくくなります。

 

さらに、プラスチックに使われる添加剤も、

 

リサイクルをしにくくしています。

 

このように、リサイクルしにくいものを

 

企業が生産・使用していては、

 

限りある石油資源から

 

作られるプラスチックを、

 

有効に使うことができません。

 

リサイクル先進国のドイツでは、

 

容器包装ごみの責任を負うのは、

 

容器包装を使用した製品を

 

生産する企業であり、

 

リサイクルまで考えた

 

製品の開発が求められています。

 

企業は、循環する経済を目指し、

 

製品の生涯に責任を持つ、

 

という考え方です。

 

望ましいプラスチックリサイクルの形は、

 

次のようなことだと思います。

 

まず、プラスチック製品、

 

プラスチック容器包装を使用した製品を

 

生産・販売する企業は、

 

リサイクルしやすい製品を

 

企画・設計する。

 

製品が廃棄された後は、

 

回収して再生し、

 

再び市場に送り出す。

 

消費者は、

 

使い捨て生活を見直すとともに、

 

プラスチックごみは

 

リサイクルしやすいように、

 

汚れを取り除いて分別する。

 

行政は、自治体が回収したプラスチックごみを

 

焼却しないで有効活用できるようにして、

 

海外にごみを輸出させない。

 

これらのことが重要になってくると

 

思います。

 

こうした一貫したリサイクルネットワークのもとで、

 

生産者、消費者、行政が、

 

それぞれの役割を果たしていくことが

 

確実に必要であると思います。

 

 

 

 

 

SDGsとプラスチック問題

 

国連に加盟する世界193カ国は、

 

2015年に

 

「持続可能な開発のための2030アジェンダ(行動計画)」

 

を採択しました。

 

17の「持続可能な開発目標(SDGs)」と

 

169の具体的なターゲットを掲げて、

 

2030年までの達成を目指しています。

 

「持続可能な開発」とは、

 

現在の世代のニーズを満たすだけでなく、

 

未来の世代のニーズも満たす

 

開発をいいます。

 

SDGsは、地球上の様々な問題に

 

世界の国々が連携して取り組み、

 

健全な開発を目指すための

 

指針として設けられました。

 

海洋プラスチック問題も、

 

早急に取り組むべき課題として、

 

目標の一つに盛り込まれています。

 

「2025年までに、海洋ごみなどの

 

あらゆる種類の海洋汚染を防止し、

 

大幅に削減する」

 

としています。

 

また、別の目標には、

 

「2030年までに廃棄物の発生を防止、

 

削減、リサイクル、再利用によって

 

大幅に削減する」

 

と掲げられています。

 

これらを受けて、2017年に開かれた

 

初の国連海洋会議では、

 

海洋プラスチックごみを減らすための

 

行動の呼びかけが、

 

全会一致で採択されました。

 

2018年にカナダで開かれた

 

G7シャルルボア・サミットでは、

 

カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、

 

イギリス、EUが

 

「海洋プラスチック憲章」に

 

署名しました。

 

これは、「2030年までにすべての

 

プラスチックを再利用・リサイクルないし

 

何らかの形で利用可能となるよう

 

産業界と協力する」などの

 

目標を掲げた事実上の

 

プラスチック規制宣言です。

 

日本は、産業に与える影響を理由に、

 

アメリカと共に署名を拒否して

 

批判を浴びましたが、

 

翌年のG20大阪サミットでは、

 

海洋プラスチック問題に

 

前向きに取り組む姿勢を示しています。

 

国連主導のもと、

 

世界は足並みを揃えて、

 

リサイクルやプラスチックごみ

 

そのものの削減に向けた

 

努力を始めています。

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

 

 

仕組みに頼りすぎない

 

日本においても、

 

各自治体ごとにごみの分別が

 

決められているなど

 

リサイクルに対しての

 

取り組みがされています。

 

私たち消費者は、

 

その決まりに従って、

 

リサイクルのために

 

分別したりしますよね。

 

しかし、行政が行っていることが

 

すべてだと信じてしまうと、

 

しっかりとした判断ができなくなる

 

可能性があります。

 

言われるから、する!

 

の感覚では、いずれそのことが苦になり、

 

自分以外の周りのせいにしたりする

 

可能性があるのです。

 

まずは、仕組みを知り、

 

自分なりに噛み砕いて

 

自分に落とし込むことが重要だと思います。

 

それによって、さらにいい方法はないかなど

 

考えるようになり、

 

行動が自発的なものへと

 

なっていきます。

 

そんな一見小さく見えるようなことが、

 

プラスチックリサイクルを

 

支えて、加速させていくのでは

 

ないでしょうか。

 

世界の動きにも目を配り、

 

未来へとより良い世界を

 

世界全体で作っていけるように

 

していきたいですね!!

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