Annearth

プラスチックと戦争

LINEで送る
Pocket

 

プラスチックが世界を変えた!?

 

世界初のプラスチックについては、

 

諸説ありますが、

 

最初に実用化に至ったのは、

 

セルロイドでした。

 

アメリカのビリヤード会社が、

 

象牙に代わるボール素材を

 

賞金付きで募集したのがきっかけとなり、

 

1869年に発明家ハイアットが、

 

セルロース (食物繊維)をもとに

 

セルロイドを開発しました。

 

初期のプッラスチックは、

 

天然素材を使った

 

半合成樹脂でした。

 

1907年、アメリカの化学者ベークランドは、

 

フェノールとホルムアルデヒドから

 

ベークライト(フェノール樹脂)を発明しました。

 

これが、世界で初めて作られた

 

人工の合成樹脂でした。

 

20世紀前半、科学者たちは

 

不足しつつあった天然素材に代わる新素材を

 

競って作り出そうとしました。

 

開発に弾みが付いたのは、

 

第二次世界大戦でした。

 

丈夫で軽量、絶縁性に

 

優れたプラスチックは、

 

兵器や装備の素材として

 

開発されました。

 

それを請け負ったのは、

 

各国に巨大化学産業体や

 

大手化学メーカーでした。

 

戦後、これらの企業は

 

プラスチックの使い道がなくなって、

 

プラスチック市場を

 

家庭用品に求めて広げようとしました。

 

1950年代以降、

 

石油産業の発展と共に、

 

プラスチックの用途を広げて、

 

1960年代以降は、

 

工業用に強度や耐熱性などを高めた

 

エンジニアリング・プラスチックの

 

開発も進みました。

 

さらに、導電性プラスチックが

 

発見されると、

 

様々な電子部品に使われて、

 

IT産業の基礎ができました。

 

多種多様な機能を持たせることができるプラスチックは、

 

医療の分野でもその特性を活かして、

 

人工臓器を完成させました。

 

 

 

第二次世界大戦とプラスチック

 

プラスチックの開発を一気に進めたのは

 

二度にわたる世界大戦でした。

 

近代兵器を大量投入する総力戦によって、

 

鉄、銅、アルミなどの金属が不足して、

 

それに代わる人工素材が求められるようになりました。

 

第一次世界大戦(1914~1918年)当時、

 

化学分野でドイツが世界を

 

リードしていました。

 

1925年にドイツで

 

化学産業体、IG(イーゲー)・ファルベンが

 

誕生すると、危機感を覚えた

 

イギリスの化学業界は翌年、

 

インペリアルケミカル工業(ICI)社を

 

設立しました。

 

1933年、実験中の偶然から

 

ポリエチレンの生成に成功しました。

 

ICI社のポリエチレン工場が稼働したのは、

 

1939年9月1日です。

 

その日、ドイツ軍が

 

ポーランドに侵攻しました。

 

イギリスはフランスと共に

 

ドイツに宣戦布告し、

 

第二次世界大戦が始まりました。

 

当時、両陣営とも

 

レーダーの開発に力を注いでいました。

 

ポリエチレンは、軽量であり、

 

高周波絶縁体として優れているので、

 

イギリス軍はこれを

 

レーダーに使用して、

 

夜間戦闘機に搭載しました。

 

ドイツ空軍の夜間爆撃を

 

迎撃することに成功して、

 

大西洋の戦いでは、

 

ドイツ最強の潜水艦Uボートの

 

探知に貢献しました。

 

この技術はアメリカにも共有されて、

 

海軍の依頼を受けたデュポン社は

 

レーダー用のポリエチレンを生産しました。

 

最新レーダーを搭載したB29爆撃機が、

 

日本を壊滅状態に

 

追い込むことになりました。

 

このほかに、デュポン社が

 

戦前に開発したナイロンは、

 

パラシュートやB29のタイヤの

 

素材になりました。

 

アメリカの長距離爆撃機の

 

補助燃料タンクには、

 

ポリエステルをガラス繊維で

 

強化した複合素材が使われました。

 

また、ドイツ軍が海底に敷設した

 

磁気機雷を欺くために、

 

ポリ塩化ビニルで覆った

 

電気ケーブルも開発されました。

 

莫大な資金が使われる戦争は、

 

プラスチック技術を発展させて、

 

プラスチックを使いこなした

 

連合軍が1945年、勝利しました。

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

 

 

人の欲とプラスチック

 

こうしてみてみると、

 

人の欲望とプラスチックが

 

密接な関係にあるような気もします。

 

戦争がプラスチックを

 

大きく発展させることになりましたが、

 

戦後もその技術を活かして、

 

家庭用品へと普及しました。

 

家庭にも普及したのには、

 

いろんな事情もあると思いますが、

 

その一つに、

 

便利だからというのも

 

あると思います。

 

人にとってより良い暮らしを、

 

というのが、環境や生態系へ

 

影響を及ぼすことに

 

繋がっているのです。

 

そこには、人の欲が

 

必ずついてきています。

 

戦争においても、

 

人が始めた争いで、何とか敵に勝つ、

 

という地球規模でみれば、

 

人間の自己中心的な行いによって、

 

人工素材がこんなにも

 

発展することになっているのです。

 

医療の分野では

 

人工素材の活躍で、

 

救われる命もあるのも事実です。

 

本当に必要なところに使い、

 

使わなくていいところには

 

使わなくていいモノなのです。

 

現代の私たち消費者も、

 

そのことを意識して、

 

プラスチックなどの

 

人工素材とうまく付き合って

 

いくことが必要になってきます。

 

そのことで、

 

また、新たな可能性や技術が

 

生まれてくるのではないでしょうか。

 

これからの新しい世界に向けて

 

一人一人が取り組み、

 

みんなで作り、楽しみましょう!

コメントは受け付けていません。

LINEで送る
Pocket

前の記事へ

SHARE
PAGE TOP