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プラスチック産業の発展

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プラスチック発展を支えた化学者たち

 

プラスチックは最初もともとは、

 

偶然に発見されたものが多く、

 

化学的な構造は分かっていませんでした。

 

化学分野での画期的な発見は、

 

ドイツで続きます。

 

1850年代、

 

ドイツの化学者ケクレは、

 

炭素の原子価(原子の手の数)は4で、

 

連なって鎖状になると唱えました。

 

この考えをもとに、

 

1920年に

 

「高分子説」を発表したのが、

 

ドイツの化学者シュタウディンガーです。

 

また、彼は、

 

天然ゴムやセルロースなどの

 

炭素化合物は、

 

多数の分子が化学結合した

 

巨大な分子であると唱えました。

 

しかし当時は、

 

小さな分子が物理的な力で

 

寄り集まったモノだとする

 

説が最有力であったので、

 

高分子説は学会で

 

相手にもされませんでした。

 

そんな中で、

 

アメリカのデュポン社の

 

化学者カロザースは、

 

シュタウディンガーの説を

 

信じました。

 

カロザースは、

 

分子をつなぎ合わせる研究に没頭して、

 

ナイロンの生成に成功しました。

 

このような事例によって、

 

1936年頃にようやく高分子説が

 

認められるようになりました。

 

これが高分子化学の始まりになりました。

 

シュタウディンガーは、

 

1953年にノーベル化学賞を受賞しましたが、

 

同年にドイツの化学者チーグラーが、

 

高分子を作り出す

 

新しい触媒を発見しました。

 

20世紀前半、化学者たちは、

 

高圧をかけると物質が

 

化学反応を起こすことに

 

着目していました。

 

イギリスのICI社が開発した

 

ポリエチレンも、

 

超高圧下で生み出されたモノでした。

 

しかし、それらを作るためには

 

高圧に耐える施設と、

 

十分な資金が必要でしたが、

 

チーグラーの触媒を使うと、

 

低圧でもエチレンを重合して、

 

ポリエチレンを作ることができました。

 

現在、よく目にするポリエチレン袋には、

 

透明でツルツルしたものと、

 

半透明でカサカサするものがあります。

 

これは、ツルツルしている方が

 

高圧法による低密度ポリエチレンで、

 

カサカサしている方が

 

低圧法による高密度ポリエチレンです。

 

1954年、イタリアの化学者ナッタは、

 

チーグラーの触媒を改良して、

 

ポリプロピレンの合成に成功しました。

 

この発見によって、

 

プラスチックの合成技術に弾みがついて、

 

チーグラーとナッタは、

 

1963年に共にノーベル化学賞を受賞しました。

 

ナッタは、ほかにもたくさんの業績を残して、

 

アセチレンの重合にも

 

成功しました。

 

このことが、2000年にノーベル化学賞を受賞した

 

日本の白川英樹博士が

 

電気を通す画期的なプラスチックである、

 

ポリアセチレンを開発する

 

きっかけにもなりました。

 

 

石油産業発展とプラスチック

 

戦争で発展したプラスチックの技術は、

 

戦後、一般生活用に応用されて、

 

新たな市場を開拓しました。

 

戦勝国のアメリカが

 

それをリードしていきました。

 

大量に余った軍用の

 

ポリエチレンから作られたのは

 

フラフープで、

 

軍事目標の模型から

 

プラモデルなど、

 

まず商品化された

 

プラスチック製品は

 

おもちゃでした。

 

1950年代には、

 

石油産業が急速に発展しました。

 

それまでは石炭を

 

原料としていたプラスチックも、

 

それよりも安い石油から

 

作られるようになりました。

 

石油産業の発展は、

 

自動車の普及にも影響し、

 

軽量化のために

 

プラスチックの部材が

 

使われるようになりました。

 

また、プラスチックは、

 

キッチン用品として

 

一般家庭にも身近なものとして、

 

普及していきました。

 

プラスチック製の食品保存容器が

 

大きく売り出されました。

 

料理をこぼさずに持ち運べて、

 

密封して保存できる容器は

 

当時はすごく画期的なモノでした。

 

食品用のラップフィルムも

 

冷蔵庫の普及と共に広がりました。

 

プラスチックは、

 

娯楽産業の分野でも支えました。

 

レコード盤は、

 

天然樹脂のシュラックから

 

ポリ塩化ビニル製へとなり、

 

映画フィルムは、

 

セルロイドからアセテートへ、

 

やがてポリエステル製へと

 

変わっていきました。

 

衣服の業界では、

 

ナイロン、ポリエステル、アクリルなど

 

合成繊維が登場しました。

 

シワになりにくい、

 

乾きやすい、縮まない、

 

などのような特性があり、

 

洗濯機の普及もあり、

 

家事の軽減にもつながり、

 

一気に普及しました。

 

成形も着色も自在にできるプラスチックは、

 

デザインの幅も広げました。

 

1950~1960年には、

 

流線形のデザインと

 

カラフルな色使いが流行しました。

 

プラスチック成形一体型の

 

デザイナーズ・チェアや

 

丸みを帯びた家電製品などは

 

「アトミック・エイジ・デザイン」

 

「ミッドセンチュリー・デザイン」

 

と呼ばれて、

 

デザイン史に一時代を築きました。

 

プラスチックはその性能を発揮して、

 

建築資材にも使われるようになりました。

 

1970年に大阪で開催された

 

万国博覧会は、

 

プラスチック素材の一大展示場でした。

 

鉄骨以外のほぼ全てを

 

各種プラスチックで覆った化学工業館、

 

柱を使わず、高強度ビニロンの

 

帆布を空気で膨らませた

 

富士グループ・パビリオンなど、

 

当時の近未来的な建築群に

 

来場者たちは目を輝かせました。

 

天然素材の代用品として、

 

「安物」「偽物」の

 

イメージが強かったプラスチックは、

 

戦後の経済成長と共に

 

夢の素材として

 

見られるようになりました。

 

プラスチックは、明らかに

 

世界を変えたのです。

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

 

世界を支えるプラスチック

 

このように発展を遂げてきているプラスチックですが、

 

今の生活で、プラスチックでないものを

 

探すのが難しいほど、

 

私たちの生活に深く浸透しています。

 

当たり前に使っているものには

 

必ずと言っていいほど、

 

何かしらのプラスチック素材が

 

使われています。

 

プラスチックがここまで

 

発展してきたからこそ、

 

人にとって助かっている部分も

 

多いのは事実です。

 

しかし、その発展と普及に伴って、

 

地球環境や生態系への

 

影響も分かってきています。

 

全てを一気に変えて、

 

解決することはできませんが、

 

それら一つ一つと向き合い、

 

個人でできることから

 

始めることが、一番の近道だと思います。

 

SDGsもあり、

 

世界的に地球環境などの

 

取り組みも活発に行われています。

 

企業も今では、

 

環境配慮製品が

 

製品開発のベースになってきています。

 

これらが普及してくると、

 

紛い物も出てくると思います。

 

今のうちから、

 

しっかりとした動きをしている

 

企業に着目し、

 

選別する目を養っていく

 

必要があると思います。

 

企業も消費者も共に、

 

取り組んでけるようになっていければ、

 

プラスチックフリーの

 

地球のもともとの生活が

 

取り戻されていくのも

 

加速してくでしょう。

 

時代の波に乗り、

 

未来へとつないでいきましょう!!!

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