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新たな時代へ

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命を救う医療用プラスチック

 

医療分野への貢献が、

 

プラスチック最大の功績とも言えるでしょう。

 

金属やゴムなどが

 

使われていた医療用具が、

 

今ではほとんどが

 

プラスチック製です。

 

注射器や注射針、輸液バッグ、

 

カテーテルなどは感染防止のために

 

すべてプラスチックの使い捨てです。

 

これを可能にしたのは、

 

工業用プラスチックが、

 

大量生産によって

 

低価格化したことによります。

 

さらにプラスチックによって、

 

天然素材が引き起こすアレルギーや

 

異物に触れると凝固する

 

血液の性質もクリアして、

 

より人体になじみやすい

 

新素材が生み出されています。

 

1945年、オランダのコルフ博士は、

 

セロハンを使った人工腎臓によって、

 

世界で初めて腎不全の

 

治療に成功しました。

 

これによって、

 

現在も多くの腎臓病患者の命を支えている

 

人工透析の基礎となりました。

 

そして、アメリカで人工臓器の

 

研究を進めていたコルフ博士のもとで

 

人工臓器の開発にあたったのが、

 

安久津哲造医師です。

 

1958年、安久津医師は世界初の

 

人工心臓を開発して、

 

動物実験に成功しました。

 

この時使われたポリ塩化ビニルは、

 

血液凝固の問題がまだありました。

 

そこで改良を重ねて、

 

ポリウレタンとシリコンゴムを

 

結合させた新素材を使いました。

 

1981年、人工心臓の

 

人体への埋め込みに成功しました。

 

医療用のプラスチックの開発はすごく、

 

手術後の縫合糸として、

 

体内に吸収されて抜糸の必要がない

 

高分子生分解性プラスチックも

 

使われています。

 

検査に使われるレントゲンのフィルム、

 

虫歯の治療や入れ歯、インプラント、

 

メガネのレンズやコンタクトレンズなど

 

プラスチックによって

 

救われている場面はたくさんあります。

 

また、かつては木製や金属製であった

 

義足や義手の分野でも、

 

強化プラスチックが使われるようになり、

 

進化しています。

 

それによって、スポーツ用に

 

特化した高性能の義肢装具も

 

開発されて、パラスポーツの

 

発展にもつながっています。

 

 

スーパーやコンビニの登場とプラスチック

 

第二次世界大戦後、

 

アメリカでセルフサービス式の

 

スーパーマーケットが普及して、

 

日本でも1960年の

 

高度経済成長期に

 

スーパーが広まっていきました。

 

魚は鮮魚店、パンはパン屋などと

 

専門店をあちこちと移動しなくても

 

一か所で買い物が済むスーパーは、

 

食品包装のあり方を変えました。

 

大量に並んだ商品の中から、

 

買い物客が自分で選べるように

 

商品情報が印刷された

 

包装が欠かせません。

 

食品の包装には、

 

食品を空気や湿気などから守り、

 

品質を保つことが求められました。

 

そこで開発されたのが、

 

密封性に優れたプラスチック製フィルムです。

 

魚や肉用の発泡トレイや透明トレイ、

 

インスタント食品用のカップ、

 

レトルト食品用のレトルトパウチなど、

 

様々なプラスチック製の

 

包装容器が使われるようになりました。

 

1970年代になると、

 

スーパーでは紙袋に代わって

 

プラスチック製のレジ袋が

 

使われるようになりました。

 

ファストフード店が誕生して、

 

プラスチック製の使い捨てカップやストロー、

 

スプーンなどが身近なものになりました。

 

1980年代になると、

 

飲料用にペットボトルが

 

使われるようになりました。

 

さらに、コンビニと電子レンジの普及によって、

 

そのまま電子レンジで温められる

 

耐熱弁当容器もできました。

 

家庭で料理を作って食卓を囲む時代から、

 

弁当や惣菜、ファストフードの

 

テイクアウトを利用する時代へと

 

人々の食生活が変化しました。

 

これには、女性も働くようになって

 

家事の合理化が進んだこと、

 

核家族化や子どもの塾通いなどによって

 

個食が増えたことなど

 

時代の変化による様々な要因がありました。

 

プラスチック包装容器は、

 

そんな人々の暮らしの変化に添って成長し、

 

現在では、日本だけで4000億円規模の

 

市場になっています。

 

しかし、使い捨ての便利さと共に

 

大量のごみ問題を抱えることになっています。

 

 

 

人類が滅んでもプラスチックは残り続ける!?

 

歴史をみてみてわかるように、

 

プラスチックが世界中に

 

溢れかえるようになったのは、

 

社会の急速な変化と共に

 

臨機応変に対応できる

 

素材だったからです。

 

プラスチックは、

 

人間にとっては扱いやすい素材です。

 

石油からいくらでも材料が得られ、

 

人間の理想に限りなく近いものに

 

作ることができます。

 

人間の欲求に従順に答えてきた

 

素材ともいうことができるでしょう。

 

しかし、プラスチックは、

 

自然界では分解されず、

 

いつまでも残り続ける

 

という性質があります。

 

現代は「人新世(アントロポセン)」

 

という新たな地質時代と言われています。

 

ジュラ紀の地層から

 

恐竜の化石が発見されたように、

 

遠い未来、人新世の地層から

 

大量のプラスチックが

 

発見されるだろうといわれているのです。

 

地質学の時代区分によれば、

 

私たちが生きるのは、

 

新生代第四期完新世と呼ばれる時代です。

 

完新世は、最後の氷河期が終わった

 

約1万1700年前に始まって、

 

人類が大きな発展をした時代です。

 

しかし、2000年2月、

 

地球環境の変動を論じる会議で、

 

「我々がいるのは完新世ではなく、人新世だ」

 

と言ったのが、

 

オゾンホール研究で

 

1995年ノーベル化学賞を受賞した

 

パウル・クルッツェンでした。

 

クルッツェンがいう人新世とは、

 

人類の新たな時代を意味しています。

 

人類が地球環境に影響を

 

及ぼすようになったのが完新世なら、

 

人新世は人類が自然にも匹敵する

 

強大なチカラを持つようになった時代で、

 

1950年頃から始まったとされています。

 

1950年といえば、

 

プラスチックが私たちの暮らしに

 

普及し始めた頃です。

 

有害化学物質が大気中にまき散らされ、

 

核実験や原発事故で

 

放射性物質が漏れ出すようになったのも、

 

人新世を特徴的に表す出来事です。

 

これらの化学物質は、

 

やがて地層の中に残り続けるでしょう。

 

実際に、東京の皇居の濠に

 

堆積した泥を分析した結果では、

 

江戸時代の地層からは

 

何も発見されなかったのですが、

 

1950年頃の地層からは、

 

わずかながらもマイクロプラスチックが見つかり、

 

2000年の地層になると、

 

その数は10倍にもなっていたそうです。

 

地球46億年の歴史のうち、

 

この70年ほどで

 

人類が地球上に溢れさせた

 

プラスチックという物質などのあり方を

 

私たち人類は、

 

考えるときに来ているのではないでしょうか。

 

(参考文献:インフォビジュアル研究所著・「14歳からのプラスチックと環境問題」)

 

新たな時代へ

 

歴史上、人類は様々な発展を遂げてきました。

 

自然にある石や木から道具を作り、

 

狩りをしたり、火を起こしたり

 

自然からの恩恵を受けながら

 

そこに感謝し、

 

また自然に還元してきました。

 

人類はどんどん知恵をつけ、

 

人間にとって都合の良いものも

 

作り出すようになりました。

 

その結果、地球環境や生態系に

 

よろしくない影響を与えています。

 

それによって、人間に巡ってきている

 

影響を人はまた排除しようとしています。

 

生態系が崩れて居場所を失った

 

野生生物が生きるために食糧を確保しようと

 

人の生活圏内に入ってきたりもあります。

 

それを人にとって害があるからと

 

また排除しようとする。

 

これらも自分たちが招いていることなのです。

 

このことを意識して、

 

人間中心の暮らしから、

 

生態系共存への時代に

 

きていると思います。

 

人類はさらに知恵をつけていくでしょう。

 

その知恵を人類だけに向けるのではなく、

 

地球・生態系全体へと

 

向ける時がきているのです。

 

わずか70年ほどでここまで発展できたのですから、

 

これからをまた新たな時代に

 

していくことも可能なのです。

 

そのためには、

 

私たち一人一人の意識や行動も

 

必要になってきます。

 

時代はまた変わろうとしています。

 

変わっています。

 

歴史や過去から学び、

 

同じことを繰り返さず、

 

新たな時代を築いていきましょう!

 

すべてと繋がっていて、

 

すべてが繋がっているのです。

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